目次
記事概要
筆者
- Web系企業のインハウスマーケター(https://twitter.com/okdddsho5)
ご覧頂きたい方
- Googleのアプリキャンペーン(UAC)を初めて運用される方
- UACを運用してみたが、思ったような成果が出ない方
- インハウスマーケターの方
(インハウスだと代理店もGoogleの担当もつきにくく、情報の取得大変ですよね。得にUACはアプリ広告故に、ネットに情報があまりないです。)
記事構成
長いので、記事構成を先に紹介。
- 本当にUACが必要か確認する
- UACの仕組みを理解する
- UACを効率良く運用できるようにアカウント構成を理解する
- 運用のレバー(変数)を知り、効率良く配信できるようになる
【最初に要確認】UACって本当に優先順位高い?
UACと自社サービスの相性はいいのか?
UAC(てかWeb広告すべて)を運用する上でとにかく重要なのが、
そもそも今のタイミングで、本当にUACを運用する必要があるのか?
を再確認することです。
- アフィやSEOを先に対策するべきではないですか?
- SNSを運用して、ファンを作る方が優先順位が高くないですか?
- 穴が空いたバケツではいくらユーザーを広告で獲得しても、離脱されてしまいます。
そもそも今そのプロダクトをペイド広告で運用すべきですか?( - アプリ広告の中でも、FBやツイッターの方が相性良くはないですか?
- CPI保証のADNWの方がコスト的にお特ではないですか?
もちろんこの記事を見ていただいている方々のバックグラウンド(資金面・競合環境・組織体制等)は異っており、それらは複雑に絡まり合っていると思います。
しかし何も考えずに、とりあえず試そうとするのは戦略なき愚か者です。
改めて上記の問いに論理性を持って答えられるのか一度自分に問いてみてください。
UACというプロダクトの「市場構造」を味方につけられているか?
を考えることも非常に重要です。
なぜならweb広告ではプロダクトとメディアの相性が成果を出すための最重要変数だからです。
媒体理解というやつです。
以下に業界ごとの相性が良いメディアを並べてみました。
(※あくまでも一般的にです。)
相性が良いのにはもちろん理由があります。
業界 | メディア |
人材業界 | リスティング広告 |
金融業界(証券・FX・カード・ローン) | アフィリエイト広告 |
SaaS | FB広告 |
マッチングアプリ | 配信出るディスプレイ面全般 |
この記事をきっかけにUACで運用しようとしているプロダクトが、
UACと相性が良いのか?を改めて考えてみてください。
前置きが長くなりましたが、以下からはUACの特徴について説明してきます。
Google UAC(アプリ広告)の特徴は?
①GoogleUACの基本概念
Gogoleの機械学習を搭載したアプリプロモーションに特化した広告プロダクトです。
自動で効果の出るターゲティングと配信面に加えて、ユーザーの行動データを学習してベストなタイミング(Wifiと繋がっているか、その方がアプリをDLしやすい時間か?etc)
で広告を出稿してくれることが特徴です。
つまりKW選定・配信面の選択・入札単価の細かい調整等は必要ありません。
そうです。運用工数は大きくないのです!!!!!!!!
ではなぜ天下のGoogleは機械学習を全面に押し出したプロダクトにしているのでしょう?
答えはシンプルです。
それはすでに広告運用において、
人間よりAI(機械学習)の方が優秀だからです。
下の表は2016年〜2019年の米デジタル広告市場でTOP10の広告費を予測した図です。
GogoleとFacebookの2社が圧倒的ですよね。
出典(http://zen.seesaa.net/article/453667655.html)
また以下はトップ10社の売上高の推移のグラフです。
2019年はGoogleとFacebookの2社で約70%を占めているのがわかります。
Googleはなんと43.33%という驚異的な数値を誇っています。
出典(http://zen.seesaa.net/article/453667655.html)
これってつまり・・・
Googleは他社と比較して、圧倒的な量のデータを持っている
ということなのです。
限られた時間で人間が手動で広告運用するのと
世界NO.1のデータを持つGoogleのAI(機械学習)が運用するのでは
後者の効果が良くなることは想像に難くないです。
ただあくまでもAIはAIです。
人間がAIをうまく利用するという考え方が非常に重要です。
「AIをうまく利用する」という前提を頭に入れながら、
UACの設定を行うことが、運用を成功に導く第一歩かなと思います。
そのため、冒頭の【UACは相性がいいのか?】にて
- 優先順位
- プロダクトとUACの相性
2つの確認を行ったわけです。
そして以下がUACを効率良く運用する3ステップです。
- 質の良いデータ(目的に合った)をできる限り多くGoogleに学習させる。
- 目的に合った最適化設定(入札や学習するイベントの設定)を行う。
- 配信面の機械学習が進むように広告アセット(クリエイティブ&文言)を充実させる。
ざっくりな流れをまずは頭に入れつつ、次はアカウント構成について見て行きます。
②アカウント構成とキャンペーンの種類
アカウント構成の全体像
自動最適化が強みのプロダクトなので、アカウント構成もシンプルです。
(※2019年11月から広告グループが追加されました)

リスティングやディスプレイと違い、
- オーディエンス設定ができない。(※2020年8月ごろから除外設定は可能)
- 配信面の設定がない
- KWの設定がない
が大きく違うところです。
ターゲティング ・配信面・KWすべて自動で最適化してくれます!
またキャンペーンは大きく3つに分けることができます。
※場外設定の方法は「⑤細かい設定、私が学んだことメモ」に記載しております。
キャンペーンの種類
UAC for Inatalls
その名の通り、インストール獲得に最適化したキャンペーンです。
公式の引用は以下です。
アプリの新規ユーザーを最大限に獲得できるよう入札単価とターゲティングが調整されます。入札単価には、アプリ インストール 1 回あたりにお支払いいただける費用の平均額を設定してください。Google 広告リニューアル版の詳細オプションでは、アプリのインストール後に特定の行動を取る見込みの高いユーザーをターゲットに設定することができます。このオプションをご利用の場合も、インストール単価でお支払いいただきます。
設定方法は以下の画像です。
最初にキャンペーンを設定する際の「重視している要素は何ですか?」の部分を「インストール数」にして、ターゲットユーザーを「すべてのユーザー」にするだけです。

また一度設定してしまったキャンペーンに関しては、
キャンペーンの「設定」→「入札単価」で変更ができます。
UAC for Actions
こちらは特定の行動を達成する見込みが高いユーザーを獲得することに最適化してくれます!
公式の引用は以下です。
価値の高いユーザーにリーチすることがお客様の目標であり、重要なアプリ内ユーザー行動をコンバージョン イベントとして設定している場合は、このオプションをご利用ください。指定した特定のアプリ内ユーザー行動を達成する見込みが特に高いユーザーに絞って、広告が表示されます。この場合は、目標コンバージョン単価として、指定したアプリ内ユーザー行動の発生 1 回あたりにお支払いいただける費用の平均額を設定してください。
こちらも設定は簡単で、最初のキャンペーン設定の際に、
「重視している要素は何ですか?」を「アプリ内ユーザー行動の数」にして、
「最も重要なアクションはどれですか?」で重要なアクションにチェックボックスを入れていただければ設定完了です。

またそもそも重要なアクションのところにアクション名が表示されるためには、firebase、adjust、Appsflyer等で取得したイベントをコンバージョンに登録して、「コンバージョン列に含める」の設定を「はい」にする必要があります。
コンバージョンの設定に関してはこの記事では触れませんが、
非常に重要な部分ですので、以下の公式ヘルプを参考に設定してみてください。
(※アプリのイベント取得はエンジニアの力が必要になります。)
【Google公式】
・Google アナリティクスのアプリ + ウェブ プロパティのアプリ コンバージョンを測定する(Firebase SDK 経由)
・第三者アプリ分析を使ってアプリのコンバージョンをトラッキングする
【adjust公式】
・Google広告の設定
【Appsflyer公式】
・Google Ads(Adwords) – 知っておくべき重要な点
UAC for Installs Advanced
これは特定の行動を達成する見込みが高いインストールを最大化するよう最適化してくれます。
UAC for InatallsとUAC for Actionsの間のイメージです。
「重視している要素は何ですか?」を「インストール数」にして、
「どのようなユーザーをターゲットに設定しますか?」を「アプリ内での行動が見込めるユーザー」にします。
その後一つ重視したアクションを選ぶことで設定完了です。(モザイクしてます)

UAC for Installs AdvancedはCPAを重視したいが、インストール数もそこそこ確保したい時に使えます。
またインストール最適化かイベント最適化で迷っている時は、UAC for Installs Advancedを運用してみて、インストールからの目標イベントの転換率見て、配信が出やすいUAC for InatallsにするかCPAが安定するUAC for Installs Advancedにするか選択するという意思決定がスムーズです。
③配信面
Google関連のメディアすべてが配信面になります。
特定のメディアを指定して除外することはできません。
(※2019年12月ぐらいよりiOSのweb面への配信もスタートしてます)

4つの運用TIPS
①イベントをしっかり設定する
UACを成功させるためのキモは、
良質なデータをできる限り多く学習させる
につきます。
ですので、ここではAdwordsにイベントを連携する際の6つのポイントを紹介します。
- UACはCVが発生しなかったデータも学習します。UACに関わりのないデータ含めたすべてのデータをAdwordsに連携すること。(Googleの推奨は最低でも3つ)
- イベント最適化設定(UAC for Actions または UAC for Actions)は機械学習の観点から1日10回以上発生する&優良ユーザー(収益あげる等)としっかり関連していること。
- もしKPIのデータが1日10件に足りない場合は、むやみやたらに色々なデータに最適化するのではなく、KPIに一番近いデータをしっかり選択すること。
- 最適化設定するイベントソースは1つに絞ること(adjustとfirebase等混ぜない)
- 最適化するイベントは出来る限りfirebaseのイベントにすること。これはfirebaseならGoogleがその他のアプリからfirebase経由で集めている行動データ(いろんなアプリがfirebase導入してますよね)も自社イベントと合わせて機械学習できるので効率が良いらしい(by Google担当者)
- 入札の最適化に関して、first_open(自動で収集されるイベント)のイベントのみ「コンバージョン列に含める」の設定が効きます。(その他のイベントは効かない)
②目的に沿ったキャンペーンを設定する
上記で説明したようにまずはキャンペーンの目的を何にするか?です。
・UAC for Inatalls(インストール最適化)
・UAC for Actions(イベント最適化)
・UAC for Installs Advanced(イベント発生しそうなインストール最適化)
どちらにするかは皆様がどんなアプリを運用するかによって違います。
一例ですが、私は金融系のアプリを運用しており、
インストール最適化よりイベント最適化の方が効果が良かったです。
これは金融系のアプリはマネタイズポイントが非常に奥であり、
(インストール→登録→入金→売買)
インストールに最適化してもインストールで終わってしまうユーザーが非常に多かったからです。
逆にイベント(入金や売買)で最適化すると、CPI(インストール単価)は高くなりましたが、CVR(転換率)が高くなり、ROAS(広告費用対効果)はイベント最適化に軍配が上がりました。
ちなみにインストール最適化とイベント最適化では配信面も結構違いが出ており、
インストール最適化はディスプレイ面に結構配信が出てましたが(インストールまではpush型のディスプレイ面でも行けるんですよねー。CPC安いですし。)、
イベント最適化ではCVデータが溜まるごとにUACが学習して検索面しか出なくなりました。
これは1日の予算や目標CV単価にもよりますが、金融系はやはり顕在ニーズを刈り取れる検索面が非常に相性が良いためになります。
(私はテスト的に同じ条件で2つのキャンペーンを運用しました!)
つまり最初のキャンペーン設定は非常に重要です。
今一度どちらを使うのか立ち返って検討してみてください。
※UAC for Actoins(イベント最適化)で運用する場合は、機械学習の最適化の観点から該当イベントが1日10件程度発生することをおすすめします。
③入札を調整する
入札に関しては「日予算」と「目標コンバージョン単価」の2つの変数があります。
まず大枠を決める必要があるので、日予算を設定してください。
これは月のUACに使うことのできる予算を30日で割れば問題ないです。
メディアアロケーションの視点もありますが、最初は単純計算で大丈夫です。
次に「目標コンバージョン単価」があります。
すでに他の媒体で運用していたらそのデータを元に目安の数値を入れてください。
それがない場合はこれくらいで取れたら良いなーの希望でokです。
徐々に調整していくことができます!(てかそれができるのがweb広告の良さ)
その調整方法を以下にまとめてます。
まずは以下の画像をご覧ください。
※Adwordsの「レポート」にてカスタムレポート機能を使って作成してます。

赤枠のところに注目してください。
これは1日のあるキャンペーンの予算消化具合なのですが、14時以降¥0になっています。
つまり14時に予算を使い切ってしまったということです。
UACは日予算に設定された金額の枠内で目標コンバージョン単価を達成しようとするので、この場合は入札が強すぎると想定されます。
目標コンバージョン単価を一気に下げると逆にコンバージョン数が減ってしまう可能性もありますが、現状では15時-23時のユーザーに対して機械学習が行われないので必然的に効率が悪くなります。(夜にだけスマホがっつり見る人とかもいますよね?)
では逆に入札が弱すぎる時はどうでしょう?
これも単純で、日予算を消化できていない場合です。
日予算が15万円なはずが、7万円しか消化できていない等です。
※キャンペーンのステータスが学習中の時は例外です。
その他入札のポイントは以下2つです。
- 一度に20%以上の変更をしない。(機械学習がリセットされる可能性がある)
- インストール100件が十分な機械学習の目安です。逆を言うと100件から機械学習が最適化されるので、100件までは変更しないことが推奨になります。
参考はこちらのnoteです🙇♂️
④広告文とクリエイティブはしっかり入れる
アセットの最適化(広告文とクリエイティブ)は機械学習で配信するUACでは必須になります。
理由はシンプルでたくさんサンプルが合った方が効果の良いアセットをUACが見つけることができる可能性が高くなるからです。
手動だと幾ばくもの組み合わせをテストできませんが、機械学習では可能なのです。
クリエイティブの詳細(サイズや広告文のコツ)に関してはこの記事が詳しいので見てみてください。
⑤細かい設定、私が学んだことメモ
広告グループは一つにまとめるべきor複数にすべき?
機械学習を強みに据えたプロダクトなのでできる限りは広告グループをまとめるというのは大前提として、どの程度、どういった分類でまとめるのがベスプラなのかという話。
結論、配信が担保できる範囲内(インスト100以上orイベント1日10回以上)にて、
「訴求軸=インサイト」別で、具体的に分けることが推奨となります。
代理店or担当者に米ウーバーイーツ事例くださいと言えば、資料もくれるはずです!
ここでのポイントは、訴求(広告文及びバナー)を具体的に分けることで、
広告グループごとに、別のユーザー層に配信が出るということです。
つまりキャンペーン全体で最大のCV数を狙いに行くという考え方になります。
そのため、一つにまとめていた広告グループを分ける場合は、
CPAを下げることを期待するというよりは、配信が出てCV数が増えることを期待してください。
実際に私も広告グループを分けることで、CPAに変化は見られなかったが、配信が1.3倍程度に増えました。
ここで面白いのが、広告グループ=訴求内容の違いによって、配信面が全然違うんですよね〜まあ当たり前っちゃ当たり前ですが、機械学習様様だなーと個人的に思います。大体3日くらいで、その訴求で効果が出る配信面に寄っていきまね〜
まとめ
いかがでしたでしょうか(^.^)
長々書きましたが、改めて全体の流れは以下です。
- 質の良いデータ(目的に合った)をできる限り多くGoogleに学習させる。
- 目的に合った最適化設定(入札や学習するイベントの設定)を行う。
- 配信面の機械学習が進むように広告アセット(クリエイティブ&文言)を充実させる。
皆様が運営されているアプリの認知向上に、少しでもこの記事が役に立ってくれれば嬉しいです。