目次
本記事概要
対象者
- マーケティングやブランディング担当
- 広告戦略の優先順位について意思決定をすべき方
- 経営者の方
目的
- 本書から科学的に証明されたアプローチを学び、優先順位を付けて施策を実行できるようになる
ダブルジョパディーの法則
「ダブルジョパディーの法則」が本書の全て!
と断言できるほど本書では繰り返し強調されています。
ダブルジョパディーの法則
あらゆるサービスやプロダクトは最終的にコモディティ化して、
「継続率」や「購入頻度」は市場占有率(マーケットシェア)に収束する。
つまり新規獲得>CRMだと本書では言い切ってます。
以下が参考に使われていたデータです。


コントロールできない指標
ブランド戦略とか広告戦略によって、以下の指標をコントロールするのは不可能であり、
変数は市場占有率、市場カテゴリ、若干の機能差のみと言い切っています。
・継続率/購入頻度(P42)
・離反率(P.62.63)
・クロスセリング(P50)
継続率/購入頻度(P42)
以下の画像にあるように購入頻度はブランドによって差異がないことが示されています。
これはよくよく考えると当たり前とかいうか、飲料メーカーAとBで購入頻度が変わることは想像しづらいですよね。年間に飲み物買う回数は基本限られていると思います。
つまりニッチ層をしっかりターゲティングしていれば、顧客のロイヤリティー(購入回数)が上がるなんてデマだ!と繰り返し強調してます。
どの業界にでも本書の考え方が通づるわけではないと思いますが、
商品差が大きくない(食料品とか車とか主に消費財や銀行などのサービス表)
そしてネットワーク効果が発揮されない業界では概ね当てはるのではないかと感じています。
離反率(P.62.63)
離反率は基本的に市場占有率が低くなるほど高くなる。
これはリテンションダブルジョパティの法則と言われており、本書では以下のように書かれています。
リテンションダブルジョパディの法則:顧客を失わないブランドはない。その損失は、マーケットシェアと比例する。大きいブランドほど多くの顧客を失うが、その損失は顧客基盤全体と比較すると小さい。
これはシェアはなくなるものではなく、移転するものであり、当然市場占有率が大きいブランドにとっては100人という離反者は想定的に少なく、反対は大きくなるという当然の結果ですね。


クロスセリング(P50)
クロスセリングも売上をあげるための施策として有効と考えられてきたが、顧客との関係性にかかわらず、そこにあるのは市場カテゴリと若干の商品差のみである。
つまりクロスセリングに費用をかけることは費用対効果が合うかいささか疑問であるということである。

また業界では重要と考えられている以下の考え方も否定しています。
・セグメント分けてアプローチなんぞ売上に貢献しない(P107)
・既存顧客の維持などコントロールできないし、新規獲得の方が安い(P89)
・ロイヤリティは接触によって育つ(P142)
・ヘビーユーザーは重要ではない(P151)
既存顧客の維持などコントロールできないし、新規獲得の方が安い(P89)
厳密にパレートの法則(顧客の20%が80%の売上を上げる)が成り立つ業界はそこまで多くなく、多くはライトユーザーからもたらされる売上であることが多い。
また先ほど言及したように既存顧客の維持はコントロールできないので、新規獲得を常に行いダブルジョパティーの法則にしたがってシェアを伸ばすことが相対的にコストが安く既存顧客の維持ができる。
セグメント分けてアプローチなんぞ売上に貢献しない(P107)
これはつまり自らニッチ(狭い市場)を狙いに行くと宣言しに行っているようなものである。数々の研究結果から競合ブランド間の顧客プロファイルに大きな差はない。
つまりより一般層に向けてアプローチをする方が効率的である。
ロイヤリティは接触によって育つ(P142)
多くの消費者はブランドの差を識別することはできず、「ブランド」という概念を持っている人は少ない。しかし一度接触機会を持ったものを好む傾向がある。
つまり自分で買った何かが好きになるものなのである。

ヘビーユーザーは重要ではない(P151)
アップルとハーレーダビッドソンのデータを元にヘビーユーザーの売上比率は3.5%ほどであり、顧客基盤にして10%も満たないと証明している。
ただヘビーユーザーが全く重要ではないと言っているのではなく、前向きな口コミをしてくれるなどプラス面もあるが、その影響範囲は限定的(狭くて深いコミュニティのみ)にしか届かないことが多く、広告費用をかけるかどうかは疑問である。
ブランド育成・企業成長のために重要なたった3つのこと
本書を読んで私が感じた、3つの重要なことを記載します。
フィジカル・アベイラビリティーを高める(P262)
つまり顧客に買わない理由を作らせないということである。
本書で例として挙げられているのは、24時間営業していない、クレジットカードが使えない、支店が近くにないなどである。
これを現代のビジネスに考えるとわかりやすいUI(迷わせないUI)であり、購入方法の多様化(クレカとかポイント対応)なのかと考えます。
新規顧客獲得にしっかり費用をかける。そして市場占有率を高める!(P88.89)
方法(マス/web)問わず、新規顧客獲得に費用をかけるべきことは本書のメインメッセージの一つとも取れます。
- 離反率をコントロールすることは難しいこと
- 新規を獲得する行為は比較的簡単なこと
- 顧客は接触頻度の多いものを好むこと
- ライト層は市場占有率の高いブランドを選ぶ傾向がある(自然独占の法則)
などから常に裾野を広げていくことは非常に重要です。
「穴あきバケツ」の状態防いだと判断したら、
現在Xヶ月で見ているコスト回収期間を少し伸ばして裾野を広げる戦略を取ってみていいのかもしれません。
※ただしこれは市場の成長率を鑑みるべきです。どこかでCPAが一気に悪化するはずなので、そのタイミングで投資を止め、その他の分野等に目を向けるべきかなと。
接触頻度を増やす~好意は親しんでこそ育つ~
ここは個人的にこの本で一番好きな考え方なのですが、好意は親しんでこそ育つということです。
当然ただただ接触頻度を増やせば良いというわけではないですが、まずは接触する機会を少しでも増やすことが、多くの人に愛されるブランドへの第一歩なのだと思います。
参考